統合失調症でも働き続ける

東大卒の男が29歳の時に職場のパワハラ・業務負荷増・コンプライアンス違反の強要に起因して統合失調症を発症した経緯と、3か月の病気休暇・約1年間の休職の後に働きながら回復する様子を綴ったブログです。

前兆期1/2

初回ブログでも触れた通り、統合失調症は前兆期・急性期・回復期・安定期の4段階のフェーズを経るとされています。

前兆期の症状としては、焦りと不安感・感覚過敏・集中困難・気力の減退などがあります。急性期は、幻覚や妄想などの、統合失調症に特徴的な症状が出現する時期です。

参考:https://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_into.html

 

自分の前兆期は2018年6月ごろから始まっていたと思います。若手職員の1人が産休に入り、若手で回していた業務に対し不安感が募っていた時期でした。ちょうどその頃、直属の上司(上司Cとします)の業務量が増えていき、彼のストレスがピークに達してきていました。その私はそのはけ口とされたのか、私に対する彼の言動は理不尽かつ威圧的なものとなっていきました。(前回ブログも参照してください)このころから、頭がボーっとして働いていないような感覚が始まりました。加えて、上司Cの威圧的な態度が自宅でもフラッシュバックし、そのたびに「クソ!」「馬鹿野郎!」「ぶっ殺してやる!」などと物騒なことを叫ぶようになっていました。7月に生まれることとなる子供がお腹の中で聞いているからやめてくれと妻に度々言われていたのを覚えています。

 

そんな中、私から言わせればコンプライアンス違反の業務監理が上司Cによってなされていき、ついにその業務を上司Cから私が引き継ぐよう別の上司Bに命ぜられました。10月1日のことでした。

 

10月2日。コンプライアンス違反の「被害者」となっていたコンサルタントと打ち合わせをしました。契約は6月に切れていたのでそのころに打ち合わせをセットしているのもコンプライアンス違反です。その場で上司Bは追加の作業の指示をしました。コンサルタントの目は空を見つめており、メモすら取っていない無気力な様子でした。

 

10月3日。耐えかねた私はコンサルタントにより詳細な指示メールをおくりつつも、「業務の範囲外と思うならその旨伝えてください」とメールしました。コンサルタントに指示する権限を持つ上司Bが指示しているので、業務の範囲外という認識をコンサルタントは示さないという自信はありましたが、それをccで見た上司Cは「なんでそんなことするんだ」と威圧的な態度で迫ってきました。私は「甲乙の関係を利用して業務の範囲と言えないことを指示するのはパワハラである、だからあのようなメールを送った」と若干震えながら答えました。上司Cはすこぶる不満そうに「上司Bと相談だな」とつぶやきました。

 

10月4日。経験がずっと豊富な上司Bと上司Cにコンプライアンス違反の認識がない現状、私が送ったメールは不適切とみなされると考えた私は、労務管理者でもある上司Aに相談をすることにしました。その日は、上司Cのやってきたことがいかにコンプライアンスに違反しているかを説明する資料作成に費やしました。そして、①上司Cのやっていることはコンサルタントに対するパワハラである、②私はパワハラをやりたくないの2点を上司Aに説明しました。結果は良好でした。上司Aは契約期間終了後にまだ作業指示を出していることを問題視してくれ、この日休んでいた上司Bに一言言ってくれるように約束してくれました。

 

10月5日。私はその場にいなかったのですが、上司Aが上司Bに一言苦言を呈してくれました。すると10月3日のメールを見た上司Bは「作業指示は業務の範囲内と納得してくれたんだよね?」と焦ったそぶりで私に聞いてきました。私は「あなたは業務の範囲内といっているが、(契約内容を示す)特記仕様書には業務の範囲と読み取れる記述はない」という趣旨のことを上司Aや上司Cに聞こえるように大きな声で言いました。上司Cは困った様子で「はいはい、その話は終わり!終わり!」とつぶやいていました。

 

10月6日〜8日の3連休を挟んで10月9日。この日私のテンションは最高に高まっていました。上司Aは別件で忙しいと言っていたので、「上司Bの意識を変えるのは自分の仕事だ!」と息巻いていました。まず、朝早く出勤して、上司Cのやってきたことがいかにコンプライアンス違反かを示す書類のコピーをとりました。そして業務時間開始直後に上司Bと別の上司Dに対して「上司Cには秘密でメールを読んでください」というタイトルでいかに上司Cがコンプライアンスに違反しているかを説明したメールを送りつけ、「私を会議室に呼び出してください」と依頼しました。会議室に呼ばれた私はテンションMAXで上司Cがコンプライアンスに違反していること、訴えられでもしたら大変だということを上司Bと上司Dに説明しました。上司Bは落ち着いた様子で「これくらいで訴えられることはない」と説明しつつ、「今の若い人にはわかってもらえないかもしれないがこれくらい私の時代では普通」「我々はコンサルタントを指導する立場にある(から許される)」「契約期間終了後に成果が上がってきたとしても差し替えれば問題ない」と反論しました。反論されつつも、私は上司Bに上司Cのコンプライアンス違反を説明できたことに非常に満足しました。同席してくれた上司Dは私のいうことが理にかなってると言ってくれれたこともおり、その日の業務時間中は非常に満ち足りた時間を過ごしました。

 

そしてその日の業務時間後、感情の高まりが最高潮に達した私は、当初から理解を示してくれた上司Aを会議室に呼び出し、会議室で座った瞬間、張り詰めていた何かが爆発して、泣き出してしまいました。全く理由は分かりませんが、ただただ号泣しました。明らかに病的な症状が出た瞬間でした。上司Bにコンプライアンス違反だと説得しきれなかったことがこのタイミングで心につきささりました。実はコンプライアンス違反じゃないことを自分はコンプライアンス違反だと騒いだのではないかと急に自信がなくなっていきました。上司Aになだめられ、落ち着いた私は顔を洗ってから帰宅しました。

 

帰宅した時にはもう妻も子供も寝静まっていました。私は1人で冷めた夕飯を食べ、放心状態ですっかり冷え切った湯船に長いことつかりました。

 

上司Aに対して①上司Cのやっていることはコンサルタントに対するパワハラである、②私はパワハラをやりたくないと説明したことは、コンプライアンス違反を密告すると同時に上司Cの私に対するパワハラから逃れられる完璧なロジックだと思っていました。しかし、上司Bに上司Cがやっていることは許容されると反論されてしまい、私はこのロジックでは上司Cのパワハラから逃れられないという絶望感につつまれていました。パワハラという言葉が頭の中でぐるぐると反芻され、「ああこうやって人は鬱になるんだ」と思ったのを記憶しています。

 

長くなりましたが、今回書き綴ったこの10月9日が、明確に精神が崩壊した日となりました。

 

次回 は、前兆期2/2と題して、陽性症状が出る急性期にさしかかるところまでを綴りたいと思います。


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